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女性の振袖に描かれた華やかに蝶が舞う柄のデザインの意味とは

振袖で人気がある文様のひとつに蝶の柄があります。華やかで可憐、それでいて力強さも感じられる、現代の若い女性にぴったりの柄です。そんな蝶の柄に込められたさまざまな意味をご存じでしょうか。
ここでは、振袖に描かれる蝶柄についてご紹介します。
成人式に使われる蝶柄の振袖は成長を願う意味
蝶柄は吉祥文様として古くからおめでたい柄として描かれてきました。揚羽蝶や熨斗蝶など、家紋にもさまざまな蝶が使われています。青虫から成虫に育ち優雅な姿へと変化するさまに、健やかな成長を願う意味が込められています。
蝶文にはさまざまな種類があり、その一例は次の通りです。
・胡蝶(こちょう):大胆な文様を羽に描いている
・向い蝶(むかいちょう):2匹の蝶が向かい合っている
・伏蝶(ふせちょう):蝶が羽を広げて伏せている
・揚羽蝶(あげはちょう):華麗な斑紋の蝶
・熨斗蝶(のしちょう):熨斗を蝶の形に見立てた文様の着物は柄で季節感を演出します。単独で描かれている蝶は春の柄です。様々な植物や風景文様と組み合わせた蝶の柄は、一年を通して着られます。
蝶が単体でデザインされている柄、さまざまな花の柄との組み合わせで優雅に可憐にその装いが楽しめるでしょう。古典柄はもちろん、モダン柄にもアレンジされています。蝶は薔薇などの洋花とも相性が良く、モダンでシックな振袖も人気。蝶柄は長きにわたり愛され続けている柄の一つです。
結婚式用の振袖に使われるときの意味は良い夫婦になるという意味
家紋にもなっている向い蝶。2羽の蝶が向かい合って飛んでいるデザインの文様です。寄り添いながらひらひらと飛ぶ様子が夫婦円満や繁栄などの意味になり、おめでたい柄としてフォーマルな着物によく描かれています。仲の良い夫婦というイメージから婚礼衣装に使われることも少なくありません。
一方で、ひらひらと飛び回る蝶は浮気や移り気をイメージし、地域によっては蝶を結婚式の衣装に使わないところもあります。また、黄泉の国の使いととらえられている場合もあり、おめでたい場での着物にふさわしくないと言われることもあるようです。地域や時期などにより蝶を描いている着物は縁起が悪いといわれていましたが、最近はおめでたい吉兆柄として人気があります。
もともとは縁起の良い吉祥文様といわれている蝶ですので、現在では、華やかで縁起の良い蝶柄は結婚式に使われても全く問題ありません。様々な季節の花と組み合わせることで、一年を通して着られるおめでたい吉祥柄になります。花嫁衣装にもよく使われる人気のモチーフです。ゲストとして出席する場合にも、蝶柄の振袖でお祝いの気持ちを表しましょう。
蝶の舞うイメージが人生の華やかさを表現している
平安時代には公家の装束で使う有職文様に取り入れられた蝶柄は高貴なイメージです。蝶が飛ぶ姿は、天高く上り立身出世を表すとして縁起のいい柄と言われています。
また、ひらひらと蝶の舞う姿がかわいらしく華やかで、七五三などお子様のお祝いの着物や振袖の柄に多く使われ親しまれています。わが子が健やかにのびのびと成長することを祈る親心を表す柄です。
中国では80歳を意味する言葉「ボウ」と同じ音で読むため、長寿のシンボルとも言われています。不老不滅の意味を持つ蝶の柄は、健康で華やかな美しい人生への願いが表現されているのでしょう。大切なお嬢さまの健やかな成長を喜び、幸せな人生を願う気持ちが込められた振袖で節目のお祝いをしてみてはいかがでしょうか。
今回のまとめ
優雅で華やか、可憐でたおやかなど、柄の描き方で様々な印象を与える蝶の柄は様々な意味をもち、その時々で吉にも凶にもとらえられることがあります。しかし、もともとは有職文様に用いられ格の高い柄として長年愛されてきた柄です。良い兆しという意味の吉祥文様の一つとして健やかな成長を喜び、華やかな未来を願う親心が込められた柄であることは間違いありません。
【参考文献】
格と季節がひと目でわかる きものの文様 / 世界文化社
【参考URL】
http://www.so-bien.com/kimono/