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着物の保管に防虫剤は必要?着物を保管する上での注意点

着物や洋服を長期間にわたって保管していると、出してみたら虫食いがあったという経験をされた方は多いのではないでしょうか。高価な着物をいざ着ようと思ったときに虫食いがある事態は避けたいところです。絹やウールの着物は衣類害虫の餌食になりやすいため注意しなければなりません。ここでは、着物の保管に必要な防虫剤、除湿剤や乾燥剤などの使い方や注意点などを解説します。
ウールの着物の保管には絶対に防虫剤が必要
着物の保管、特にウールの着物を保管する場合は防虫剤を忘れてはいけません。他の繊維と比べてウールの着物は保管の際、虫に食われることも多いため注意が必要です。ウールなどの繊維を好んで食べる衣類害虫はイガ類やカツオブシムシ類などが代表的で、どちらも雑食性で動物繊維や植物繊維はもちろん、シミがついている化学繊維まで食べることもあります。
やわらかいウールの繊維は特に衣類害虫が好む格好のエサです。衣類害虫は湿気が多く暖かい場所に集まり繁殖します。着物を脱いだ直後は汗や体温で着物に熱や湿気がこもり、衣類害虫の好む状態です。ウールの着物を着た後は陰干ししてしっかりと湿気を飛ばし、防虫剤を入れてから保管してください。
数種類の防虫剤を併用するとシミや変色の原因になるので要注意
防虫剤には無臭性のピレスロイド系、有臭性のパラジクロルベンゼン・ナフタリン・樟脳があります。これらの防虫剤の種類を無視して併用すると、シミになったり変色したりするかもしれません。防虫剤の種類による特徴を考え、保管する着物に合わせて選びます。
絹やウールを保管する際に適しているのはパラジクロルベンゼンと樟脳です。しかし、パラジクロルベンゼンと樟脳は絶対、一緒に入れてはいけません。この2つを併用するとシミや変色の原因になります。必ずどちらか1種類を使いましょう。
種類の異なる防虫剤を併用すると薬剤が溶けてシミや変色の原因になってしまう場合がありますが、異なる種類の防虫剤でも併用できる場合があります。ピレスロイド系の防虫剤は樟脳かナフタリン、またはパラジクロルベンゼンのいずれかと併用が可能です。樟脳は、パラジクロルベンゼンだけでなくナフタリンも併用ができません。
着物の保管には防虫剤よりも除湿剤・乾燥剤のが優先順位が高い
着物の保管時には虫食いも心配ですが、それよりもカビを防ぐことの方が優先度は高いでしょう。絹の着物はカビやすいため、除湿剤や乾燥剤などを使うことが大切です。湿気の多い場所では衣類害虫が繁殖しやすくなりかねません。最近の日本の住宅は気密性が高く、クローゼットや引き出しの中に湿気がこもりやすくなっています。除湿剤や乾燥剤を使って収納場所の湿気を取り除くことで、衣類害虫の繁殖を抑える効果も期待できるでしょう。
除湿や防虫に気をつけていても、引き出しの中にたくさんの着物を詰め込むと空気が循環せず湿気がたまりやすくなります。1つの引き出しには着物を入れすぎず適度に空間を作ることが大切です。また、除湿剤や乾燥剤を使い湿気をためないことを優先すると防虫効果も期待できます。
今回のまとめ
ウールの着物は特に虫に食われやすいため保管には防虫剤が必要です。絹やウールに最適な防虫剤はパラジクロルベンゼンと樟脳ですが、この2つは併用できません。防虫剤の種類により併用できるものとできないものがあります。それぞれの特徴に合わせて効果的に使いましょう。また、着物の保管には湿気をためないことも重要です。防虫剤や除湿剤などを使い保管方法に注意しながら、お気に入りの着物を長く着てください。
【参考URL】
https://mushuda.st-c.co.jp/gaichuzukan.html